Tow Of Us
ポールの曲、「”I Dig a Pygmy" by Charles Haultrey and a deaf aids. Phase1 in
which Doris gets her oats」 (聾者協会のチャールズ・ホールトリーの”I Dig a Pygmy" (私はピグミー族)です。場面1、ドリスはカラス麦を手に入れます。)というジョンの台詞が冒頭にはいっている。これはこの曲とはまったく違う場所でジョンが言っているシーンが映画に出てくるので、編集されたものである。 ただアルバムの歌詞カードにはきっちり入っているので、曲の一部ということなのだろう。...Nakedでは、この部分はそぎ落とされているが、1962〜1970のオフィシャル盤の楽曲を目指すビートルズマニアのバンドなら「Tow Of Us」を演奏するときはこの台詞を加えなければならないのは常識である。
この曲は、映画のなかでポールとジョージが対立するシーンで有名になった。 ポールはジョージにギターでベースラインを弾くように求めたが、それがジョージには気に入らなかったようだ。 このシーンは、解散へ向かうビートルズの象徴のように描かれているが、しかし、仕事上のこのようなぶつかりは、これに限らずあって当然だったと思う。一年中和やかなセッションをしているバンドの方が問題ではないか。そんなバンドの曲は聴きたくも無い。
ボーカルはジョンとポールのデュエット、ポールの当時はまだ恋人だったリンダのことを歌った曲と伝えられている。「ON
OUR WAY HOME」というのが最初のタイトルだったようだ。ドライブ中の男女を詩っている。
1969年1月31日の録音テイクから編集されている。 アンソロジー3にはこれとは別の1月24日のテイクが収録されている。
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Dig A Pony
ジョンの曲、ルーフトップ・ライブからの選曲である。映画をみればわかるが、冒頭「All I Want is You」のコーラスがカットされている。これはフィル・スペクターの仕業なのだが、ジョンとしてみれば、もっとも言いたかった言葉でもあるし、この言葉自体が本来この曲のタイトルとなるはずであった。...Nakedでは復活するのかと思いきやフィル・スペクター版同様カットされたままである。(アンソロジー3に1月22日テイクの原型版が収録されている)
冒頭、イントロに失敗したものが入っている。ジョージのカウントとリンゴの「Hold
it!(ちょっと待って!)」の声である。リンゴが鼻をかんでいる時に、カウントが入ってしまったので、あわててとめたのだ。ルーフトップ・ライブが収録されたのは1月30日で、ロンドンの一番寒い時期でもあり、ポールの鼻をすする音まで入っている。 曲の最後にジョンが「Thank
you brothers hands too cold to play the chords」(ありがとう兄弟! 手がかじかんで旨くコードが弾けない)と言っているくらいで、映画をみていなくとも、寒さが伝わってくる。 こういう編集をカットしてしまうと何が...Nakedなのかと反感を覚えてしまう
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Across The Universe
ジョンの曲、この曲はオフィシャル盤としても二つの編集された曲が発表されている。曲は1968年2月に最初のレコーディングが行われていて、ひと悶着があってお倉入りとなった経過がある(この初(正確には第2)テイクはアンソロジー2に収録)。その後、ジョンは「世界野生動物保護基金」のチャリティアルバムにこの曲を寄付している。 このチャリティアルバムの曲は鳥の翼の効果音が入っているので、「バード=ヴァージョン」と呼ばれている(「パストマスターズ2」に収録)。
このアルバムに収録されたものは、1968年の音源(正確には第8テイク)をもとにストリングスをつけたフィル・スペクターの味付けされた作品で、スピードも下げられてねむい感じになっている。但しストリングスは超一流の編曲者リチャード・ヒュートンの編曲で出来上がっており、1968年のレコーディングには素人のコーラスを付けていたが、ここではあっさり削除されて、重厚な仕上げになっている。
ゲットバックセッションでも、その後リメイクされたわけでもない音源からの編集なので、ライブ性という意図からは、かなりかけ離れた曲といえるが、フィル・スペクターの編集内容にはジョンはかなり好意的であったようだ。
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I Me Mine
ジョージの曲、「俺が、俺が、俺が」と言うのが、本当の意味らしい、強引な自己主張をする人間を皮肉った曲だ。通説ではポール批判の曲ということになっているが、ジョージは自戒をテーマした曲と説明している。しかし、この曲が作られたのが、ポールとぶつかったシーンの直後なので、通説の方が説得力がある。 映画の中では、ジョージがリンゴに、ヘヴィ・ワルツだと言って披露し、その後で、ジョンとヨーコがワルツを踊り、トゥイッケンハイムでのシーンが終るが、実はこのセッションは録音されていなかったため、一年後の1970年1月3日 アルバム用に再度レコーディングされた。このときジョンは参加しておらず(ポールも参加していないと言われているが、居たという話もある)、ビートルズから離れていたジョンに対して、皮肉を込めたジョージの発言もある。(アンソロジーに収録)、実質これがビートルズとしての最後のレコーディングとなってしまった。
フィル・スペクターはこの曲にも重厚なストリングスを付け加えている。さらにオリジナルは1分34秒ほど演奏であるが、繰り返し編集で2分25秒の曲に編集している。 1月3日収録そのままがアンソロジー3で、延長してオーケストラを消したのが...Nakedということになる。
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Dig It
ジョンの曲、お遊びで演奏した曲である。セッションは12分25秒続くが、フィル・スペクターに50秒にカットされている。ビートルズもこの曲をアルバムを入れる気はなかったのだと思うが、アルバムの片鱗であるライブ性という意味では、面白い曲なのだ。...Nakedでは、ばっさり削られている。
アルバムの曲の最後にジョンの子供のような声の台詞
「'That was "Can You Dig It" by Georgie Wood, now we'd like to do "Hark The Angeis Come"](今のはジョージ・ウッドの”分かるかい?”です。次は賛美歌”御使い達が訪れし”をやります)
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Let It Be
ポールの曲、アルバムのタイトルにもなった超有名な曲。 しかしピアノ練習曲などと言うひともいた。確かに最初のピアノソロはコードを知っていれば誰でも簡単弾ける。だがここが落とし穴なのだそうで、淡々と弾いたのでは練習曲になってしまうが、強弱をつけた微妙な感情で弾いていかないといけないのだそうだ。
この曲は、このアルバムに収録されたものの他に、シングル盤で発売されている。 こちらの方はジョージ・マーティンがプロデュースしたものである。どちらも1969年1月31日の録音テイク(27テイク)から編集されている。 おなじテイクから二つの異なった編集により同タイトルの2つの曲があるのだ。 誰でも聴いてすぐわかるのがギターソロの部分だろう。好みの問題だろうがシングル盤のテイクが好きである。面白いのは、比べて聴いてみると、アルバム盤にもシングル盤ギターフレーズが微妙に流れているのがわかる。逆にシングル盤はアルバム盤のフレーズが聴こえるのだ。 これは是非聴きくらべないといけない。(シングル盤は「パストマスターズ2」に収録) ちなみに...Nakedも2っと同じ録音テイクと映画のテイクから編集されているようである。 これとは別の1月25日収録のテイクがアンソロジー3にある。
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Maggie Mae
作者不詳、この曲はビートルズのオリジナルではないので、カバー曲ということになる。 ビートルズのアルバムにカバー曲が収録されるのは随分久しぶりになるのだろう(1965年BadBoy以来)。 とはいっても、これは、映画のなかによく出てくるお遊びセッションのなかのひとつである。 リバプールの船員が歌っていた春歌だそうで、ビートルズもリバプール訛り丸出しで歌っている(Maggie Maeとは売春婦の名前であるMaggie Mayが正しい 娼婦で追剥ぎという凄い女性である)。 もともと完成させるつもりのテイクではないので、雑なつくりで中途半端に終ってしまっている。このアルバムを嫌う一番の理由として槍玉に挙げられる曲ではあるが、これはこれでいいのだと思う。
実は映画でもこの曲のセッションシーンはカットされている。 したがって何故この曲が採用されたのかわからない。但し、ビートルズのライブ性という意図は十分に伝わる曲であるといえる。...Nakedでは、ばっさり削除。
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I've Got A Feeling
ジョンとポールの合作、元々、ジョンとポールが異なる曲を作っていて、それをあわせたのである。タイトルはポールの曲名が採用された。ジョンの曲はEverybody
Had A Hard Yearというタイトルだった。 曲の前半がポール作でポールがヴォーカルを取り、その後がジョンの作でジョンがヴォーカルを取り、後半はそれぞれの曲をいっしょに歌う。という具合になっている。
収録は、ルーフトップ・ライブからの選曲で、このアルバム2っ目である。2バージョンのうちの最初のテイクからで、映画のシーンと同じなので、雰囲気がわかり易い。 曲が終った後に、ジョンが「OH,my
soul」 「so hard」と言っているくらいなので、元々違う曲を対位しながら進行するのは難しいのであろう。 しかし、抜群にいい雰囲気に出来上がっている。 それぞれ別々の曲のままだったら、こうは行かなかっただろう。
...Nakedでは2バージョンのテイクを旨くつなぎ合わせている。デジタル録音技術の..Nakedの売りのひとつにしている位である。 ルーフトップ・ライブではなく、1月23日のテイクがアンソロジー3に収録されている。
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One After 909
ジョンの曲、映画のなかでポールがこの曲の由来を語っている。この曲が最初にレコーディングされたのは1963年3月5日であるが、ジョージ・マーティンにより没にされている。 ジョンが若い?ころの作品で、歌詞も完全に韻をふんだ典型的なロックンロールである。しかし、ジョンはこのようなきれいな韻をふんだ歌詞は好きではないらしい。
1963年版は、曲のテンポがスローで、荒削れの感じがしたが、 このアルバムの曲は、ループトップライブのもので、迫力のある演奏になっている。 1963年ころのビートルズから、6年しか立っていないが、このループトップの演奏の違いはどうだろう。 ジョンとポールのデュエットも素晴らしく、ノッテいるという感じがする。 ジョンも演奏終了後、上機嫌で、鼻歌で「DannyBoy」を歌っているのが聞こえる。
...Nakedも同じループトップライブの同一テイクからである。 アンソロジー1には1963年3月5日のテイクが収録されている。
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The Long And Winding Road
ポールの曲、これまた有名な曲であるが、このアルバムの物議をかもす最大の曲でもある。
ポールとしては、この曲はシンプルなピアノバラードにするつもりだったと伝えられる。事実、イギリスではこの曲のシングル盤は発売されなかった。 理由はフィル・スペクターがストリングスやコーラスを加えて、軽いポップナンバー仕立てにしてしまったことに、ポールが激怒したためとも言われている。 確かにフィル・スペクターの濃厚なアレンジで、ジョージのエレキギターも、ジョンの6弦ベースも、リンゴのドラムも、なによりビリーのオルガンが消し飛んでいるのは確かなことである。 同じテイク(1月26日)からのシンプル版がアンソロジー3に収録されている。
作者の思いを無視した編集は問題ではあるが、しかし、歴史の重みというか、既経過年数の壁の隔たりは大きかった。 はじめて聴くひとはどうかと思うが、フィル・スペクター編集の曲に慣れてしまった今、...Nakedを聴いてこれぞ待っていましたという気持ちにはなれなかった。...Nakedは1月31日の第19テイクで、映画と同じテイクである。
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For You Blue
ジョージの曲、12小節のシンプルな曲とジョージが自ら語っている。 この手のブルース調の曲風は解散後のジョージの代表的なものになっていく。 ジョージはこの曲のタイトルをなかなか決めなかった。曲を作るよりタイトル決めの方に時間がかかる場合もあるが、そのためしばらく「George's
Blues」と呼ばれていたそうである。
映画のなかでは、トゥイッケンハイム映画スタジオでのシーンが終わり、アップルビルへ入るビートルズのメンバーが映し出されるバックからこの曲が使われている。 そのためアップルビルでのセッションの冒頭はこの曲である。 演奏はジョージがアコーステックギター、ジョンがスライドギター、ポールがピアノ、リンゴがドラムで、ベースはいない。 このアルバムのスタジオ録りでは、ポールがピアノを弾くことが多く、したがってベーシストが居ない状況が多い。
この曲は、ヴォーカルを後で録り直している。1月25日の第6テイクを使って1970年1月8日に再録して完成させている。...Nakedでは当然ヴォーカルも1月25日の第6テイクそのままかと思いきや、1970年1月8日の再録を使用しているとのこと。 アンソロジー3に収録されているのも1月25日の第6テイク以前のテイクなので、1月25日の第6テイクのヴォーカルは未だに発表されていないのである。
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Get Back
ポールの曲、映画のラストもこの曲である。 映画のサントラでもあるので、この曲が最後なのも納得できる。
この曲にも、このアルバムに収録された曲以外に、別ヴァージョンの曲がある。 ジョージ・マーティンのプロディースによるもので、シングル盤として発売された。 シングル盤の方はこのアルバムが発売される前、まだ「GetBack」というタイトルでアルバムが発売される予定だったころ、アルバムカッティングとして発売されたものだ。(シングル盤は「パストマスターズ2」に収録)
シングル盤は完全にスタジオ録音なのに対して、アルバムの収録はルーフトップ・ライブの一部からつなげている。 これは決定的な違いで、曲のはじめにある、ジョンの替え歌などは、ライブ感のある良い雰囲気である。 曲の終わりのモーリン婦人の歓声やポールのお礼、そして最後のジョンの決め台詞も映画同様に入っている。 やはりこれが入っていないとらしくない。編集とはいえ臨場感がこれだけで違うのだ。アルバムもシングル盤もテイクは1月27日のスタジオ録音である。 シングル盤は最後の部分に1月28日のテイクを編集し長い演奏にしている。 ...Nakedは1月27日で前後編集なしのオリジナルを収録している。 映画のラストにもなったルーフトップ・ライブの最後のテイクはアンソロジー3に収録。
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